JUNKETU ~首筋にkissの花~
ギュッと締め付けられる胸の内側に溜め息しか出ない。
ソレはオヤジの標。
そして………血塊だった。
血塊は結界。
つまり、他の同族種に自分の所有物であることを示す為の印でもある。
だから同族種はこの印があるモノには触れられない。
但し
………血族を除いて
つまり、
息子である俺は正にソレだ。
「旨そうだな、アンタ」
「え?」
グッと手首を掴んで引き寄せれば簡単に俺の胸元に引き寄せることが出来た。
細い腰に回した腕に少し力を込めれば、身体が密着する。
鼻腔をかすめる香りはオヤジ愛用のオーデコロン。
「マーキング、されてんだ?」
「マ…は?えっ?えぇ?」
抱き締められた姿勢のまま固まって、しどろもどろになっているソイツの耳元に軽く息を吹き掛けてやると
「ひゃ、ぃゃ…ん…」
なんとも初な甘い声が漏れた。
首筋に唇を這わすと、
「ッ…」
唇に感じる引っ掛かりにイラッとさせられた。
オヤジの咬み痕を覆うように舌を這わせば
漸く状況を把握したのか身体を揺すって抵抗を示された。
またイラッとする。
「ダメッ、ハル君!あたしはハル君のお母さんなんだよ?あたしはトウマさんの…」
「うるせぇって」
こんな時にオヤジの名前だしてんじゃねえよ…
毎日毎日、チラチラと旨そうな獲物が目の前を彷徨いてんのに指くわえてなんて見てられっかよ…
言ってんじゃん、母親なんて認めないって…
「悪いのは、アンタだろ?」
「なっ」
「全部アンタが悪い」
「あたし何の事か…」
「だからうるせぇって」
オヤジの咬み痕に牙を立てれば
獲物は抵抗を止めた。
喉元に感じる温もりに目を閉じると満たされた気がした。
こんな感覚初めてだ…。