JUNKETU ~首筋にkissの花~
「あたし…今日は帰るね」
声が震えてる。
抱き締めた身体も小さく震えている。
「泣くな」
「泣いてなんか、ないよ」
また小さく抵抗して、眉の下がった笑顔を俺に見せる。
まただ…
ギュウッと胸の辺が握り潰されたみたいな感じに息苦しくなる。
「じゃ、泣けば?」
「泣けって、言われてそう簡単に泣けるもんじゃないと思うんだけど」
後頭部を軽く自分の胸に押し付けてやれば、一瞬身体を強張らせてからクスリと小さく笑って
「少しだけ甘えさせてね」
そう言って身体を預けてきた。
そして小さな声で独り言の様に自分の事を話し出す。
「あたし孤児院出なの。五才までの記憶が無くてね、気が付いたら孤児院にいたの。捨てられたのか、預けられたのかは判らないけど、シスターの話では両親はもう生きてないらしいの。それで、小学校4年生の時にトウマさん夫婦があたしを里子にしてくれて、中学卒業してからは高校の学費と生活費の援助をしてくれてた。」
《里子》であって《養子》、しかも引き取らなかったのは俺がいたからだろうか
そんな疑問が浮かんだがそのまま黙って話を聞き続ける。
「一人暮らしさせて貰ってる時は週一でトウマさんが来てくれて、その……ショクジをする様になったの。それからお母様が倒れて…」
「大丈夫だよ。お袋が何?」
母親の話しになると躊躇う様に言葉が濁る。
気にならないと言ったら嘘になるけど、一応母親の死に対する理解はしていたし、受け入れもしていたから落ち着いて話しを聞く事が出来た。
「…あたしの血が薬になるってトウマさんが言って、病院に居るお母様に持って行ってたの。お母様も、吸血鬼さんだったのね。あたしその時に初めて知ったのだけど…。」
女の吸血鬼は男に比べてかなり短命らしい。特に純血の子供を産んだ吸血鬼の寿命は極端に短いらしく、お袋もソレだった。
寿命の予兆が見られたのは俺が中学に上がったばかりの頃で、
お袋は朝食を作っていた台所で真っ黒なタールみたいな血を吐血して倒れた。
声が震えてる。
抱き締めた身体も小さく震えている。
「泣くな」
「泣いてなんか、ないよ」
また小さく抵抗して、眉の下がった笑顔を俺に見せる。
まただ…
ギュウッと胸の辺が握り潰されたみたいな感じに息苦しくなる。
「じゃ、泣けば?」
「泣けって、言われてそう簡単に泣けるもんじゃないと思うんだけど」
後頭部を軽く自分の胸に押し付けてやれば、一瞬身体を強張らせてからクスリと小さく笑って
「少しだけ甘えさせてね」
そう言って身体を預けてきた。
そして小さな声で独り言の様に自分の事を話し出す。
「あたし孤児院出なの。五才までの記憶が無くてね、気が付いたら孤児院にいたの。捨てられたのか、預けられたのかは判らないけど、シスターの話では両親はもう生きてないらしいの。それで、小学校4年生の時にトウマさん夫婦があたしを里子にしてくれて、中学卒業してからは高校の学費と生活費の援助をしてくれてた。」
《里子》であって《養子》、しかも引き取らなかったのは俺がいたからだろうか
そんな疑問が浮かんだがそのまま黙って話を聞き続ける。
「一人暮らしさせて貰ってる時は週一でトウマさんが来てくれて、その……ショクジをする様になったの。それからお母様が倒れて…」
「大丈夫だよ。お袋が何?」
母親の話しになると躊躇う様に言葉が濁る。
気にならないと言ったら嘘になるけど、一応母親の死に対する理解はしていたし、受け入れもしていたから落ち着いて話しを聞く事が出来た。
「…あたしの血が薬になるってトウマさんが言って、病院に居るお母様に持って行ってたの。お母様も、吸血鬼さんだったのね。あたしその時に初めて知ったのだけど…。」
女の吸血鬼は男に比べてかなり短命らしい。特に純血の子供を産んだ吸血鬼の寿命は極端に短いらしく、お袋もソレだった。
寿命の予兆が見られたのは俺が中学に上がったばかりの頃で、
お袋は朝食を作っていた台所で真っ黒なタールみたいな血を吐血して倒れた。