JUNKETU ~首筋にkissの花~
お袋の病状に気付いたオヤジはコイツの力でお袋を助け様としてたんだろう
少しでもお袋のナカを浄化して、少しでも楽に延命しようとした
コイツもソレを知っていて自分を差し出してた?
ソレハ…………
「お前さぁ、オヤジの事好きなの?」
「………うん」
確かめたかった様で確かめたくなかった事だった。
二廻り近くの年の差のある、しかも異種族(異種族ってのも間違いかもしれないが)の男に嫁ぐ事をどう思っているのか。
しかも、自分を保存食と自ら言っていた、酷く寂しそうな目をして…
「好きなんだ?」
二回目の質問にも同じ様に「うん」と答えて俯くのをチクチク痛む胸を押さえながら見ていた。
「でもね、トウマさんはきっとまだお母様…ネネさんを愛してるみたい」
「………」
もう何も言えなかった。
愛されていなくてもオヤジと一緒にいたいと願うコイツに俺は何を言えばいいのか分からない
言う権利もないのだから…
「そう…」
「うん。あたしはソレでもイイの。やっと欲しかったモノを与えて貰えたんだもん、コレ以上望むのは欲張りだもん」
「欲しかったモノって?」
「かぞく」
たった三文字を発音して、
「ずっと欲しかったの。お父さんがいて、お母さんがいて、子供がいて、いつも笑っていられる場所が。帰る場所が欲しかったんだ」
「ならさ、婚姻じゃなくて養子で良かったんじゃねぇの?」
ずっと引っ掛かってた疑問を問うと、
「それはあたしも訊いたんだけど、あたしを護る為だって言われたの。ずっと意味分からないんだけど…」
また小首を傾げて、
「あたしの話しはおしまい。じゃ、先に教室戻るね!」
いつもの惚けた笑顔でこの場を後にしようとする。
「あのさ、」
「今夜は和風ハンバーグにするから早く帰ってきてね!」
俺の言葉を遮る様に言って、ジュンは行ってしまった。