忘れようとした君へ・・・
1章
真紀と一樹は、高校の同級生だ。

同じクラスで仲の良い二人は周りからも羨ましがられていたカップル。

片時もいつも一緒にいてる。

高校生同士だから、デートといってもそんな大した所へは行けなかったが、
二人一緒にいれるだけで幸せに思うのだった。

一樹は、暴走族で夜中はバイクに乗って仲間と一緒に走っている。

そんな彼を見て真紀は一目ぼれをして付き合い始めたのだ。

暴走族の彼だが、根はとても純粋で優しく照れ屋。そんな一樹を真紀は大好きだった。

周りの人に、暴走族の彼と付き合っていると話をすると白い目で見られたりする事もあった。

暴走族=不良→関わると危ないという固定概念があるからであろう。

しかし、そんな事は真紀は気にしていなかった。

一樹は、真紀が会いたいと言ったらすぐバイクで飛んできてくれる。真紀にとって自慢の彼だった。

付き合い始めてしばらく経った頃、真紀の誕生日の日が来た。

この日も、当然デートの約束をしていた。だが、一樹は約束の時間を過ぎても来なかったのだ。時間に遅れるという事が今まで無かったので、真紀は心配になり一樹に電話をかけようとした。

ちょうどその時、一樹が走ってやってきた。

「ごめん、遅れて。ちょっとヤボ用があって・・・」

『普通、彼女の誕生日に遅れてくる?』と心の中では思ったが、口には出さなかった。

ご飯も食べ終わり帰ろうとした時、一樹がポケットに手を入れ一つの箱を取り出した。

真紀は、それが何のかある程度見当はついた。けれど、実際に一樹から指にはめてもらい実感した。

『私、今マジで幸せ。』『一樹とこれからもずっと一緒にいたい』

一樹は、「今は安物しかあげれないけど、将来は頑張ってもうちょっと良い指輪買ってプロポーズするから(笑)だから18歳になったら結婚しよう」と言いながら照れていた。

真紀はこの時の一樹が言ってくれた言葉を一生忘れないであろう。
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