ゴスロリ彼女のキスの味


 不規則に上がる水しぶきは波とは違い、明らかに人工的なもの。


「た、助けて!」

 腕が見え、顔も見えた。


 ゼロだ!!


 でも、どうしてこんなところに?!


 おれは立ち上がり、波打ち際まで駆け寄る。


 ゼロまでの距離は50メートルくらい。


 しかし、足が進まない。


 緩やかな動きで海の水がおれの足に触れようとすると、おれは無意識に足を引っ込めた。

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