ゴスロリ彼女のキスの味
おれもスピードを緩め、画面を見入る。
『そこまでする必要があるのか?』と記者から質問が飛んだが、警察庁長官は軽く頭を下げると会見場から姿を消す。
おれにはファザーに操られている人形のように見えた。
「おれたちには関係ないな」
クラッシュデニムを腰の位置より下げて穿いている高校生らしき男子が同じようなファッションをしている隣の友達にニヤけた顔で同意を求める。
世間ではゴスロリ女の登場で大騒ぎだと思っていたのに、殺人事件が起こっている危険地域で自分と同じ高校生が平気で歩いていることに驚いた。
ケータイやテレビの薄い画面から発信されている情報と現実世界ではまだギャップがある。