ゴスロリ彼女のキスの味


 外へ出て、4、5軒先の窮屈な路地裏でおれは背中から下ろされた。


 新鮮な空気を吸ったのが遥か遠い昔のようで、ぜいぜい肩で息をしながら酸素を肺に送り込む。


「い、生き返ったぁ~」

 おっさんのような口調で火事から逃れることができた喜びを表現した。


 ゆっくり顔を上げる。


 目の前には白い天使が立っていた。


 白い天使?!


 ゼロはゴスロリの黒い衣装を着ていたはず……。

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