ゴスロリ彼女のキスの味


「はぁ~」

 昨日退院して外に出たら新鮮な空気をお腹一杯吸いたいと思っていたのに、出るのはため息ばかり。


 コンビニに立ち寄る前、バスを乗り継いで、ゼロの家に行ってきた。


 本当は生きていることを願って会うつもりだったが、ゼロの家の門には“売り家”と赤い字で書かれたプレートがぶら下がっていた。


 愕然としながらゼロの家をしばらく眺めていた。


 予想はしていなかっといえば嘘になる。


 いま世間を騒がしているのは殺人鬼のゴスロリ女ではなく、芸能人の薬物汚染。

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