君がいたからがんばれた
Ⅲ章 『杏ちゃん』
――――…「寒ぃー…」
悴んだ手に暖かい息を吹きかけた。
でも、一瞬だけで全然温もらない。
「何で、マフラーとかして来なかったんだよ」
マフラーに、手袋…
コートを着て、完全な陽人
「だって、マフラーとか手袋って邪魔になるじゃん」
「風邪引いた方が普通嫌じゃね?」
「馬鹿は風邪引かないから」
「認めたか」
コートの中に、両手を突っ込んだ。
首周り寒い………。