だから愛した。



「おーいっ、花穂子?」


耳にフッと息をかけられて
「ひゃっ」と声が出たと同時に肩があがった。

ぱっと隣を見ると呆れ顔の紗英(サエ)


「やっと気付いたぁ。何回呼んでも気付かないんだもん。
そんなに舞台に集中しちゃって、和太鼓気に入った?」

ニッと笑う紗英に"つい男の子のかっこよすぎて見とれてた"なんて言えず、
「うん」とだけ答えた後照れ臭くて下を向いた。



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