花咲く所に恋来たる☆
「魁人さん! 愛梨さんが――」
「愛梨? 愛梨がどーしたんだ?」
ゆっくりと、下っ端達が魁人の通る道を開けてくれて、魁人の姿が全部見えるようになった頃には――…
「愛梨?!」
駆け寄り、眉を下げて心配そうな顔をする魁人。
「どーした? って翔!
何でお前此処にいんだよ!
風邪じゃねーのか?」
でも、魁人の疑問はポンっと置かれ、翔は既に眠りについていた。
「…スマン。 後は俺が見るから、ドア閉めてくれ」
魁人の掛け声で、どよめいていた下っ端達は静かにドアを閉めてくれた。
それを確認した魁人は、ゆっくりとアタシの頬に手を当てて、涙を拭ってくれた。
魁人を見ると、魁人は顔を赤くして、優しく微笑んだ。
その優しい笑みに、アタシの心はキュっとなった。
「…翔に何かされたのか?」
アタシは首を横に振った。
「そっか…。なら安心」
何もされてないってか、何かしたのはアタシの方だし。
そう言って、優しくしてくれた魁人はつかの間―――……。