花咲く所に恋来たる☆




「…ねえ、南城日―――」
「…いい」

アタシの言葉は南城日向に遮られた。

「え?」
「…お前なら特別に呼んでいい。 俺の名前、呼べよ」
そう言い、南城日向は妖艶に笑った。

「・・・」
あまりの驚きに、固まってしまった。

「…呼べよ」
「……南城日向」
遂ボーっとしちゃいまして……

「ハハッ! チゲぇよ。 アイリ」
“アイリ”。

初めて名前を呼ばれ、不覚にも鼓動が高鳴り、顔が赤くなる。


「……ひ、なた?」
「何で、疑問形なんだよ」

い、いや。
だっだって……
「…ちゃんと呼べよ」
「ひ、なた…」
「ちゃんと」
「日向!」
アタシはもう、ヤケクソになっていた。

そんなアタシを見て――…
「合格。 これからそう呼べ」
なんじょ…日向はアタシに微笑み、部屋を出て行った。


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