学園(姫)
「茶でも飲んでいかぬか?」

「用意してくれるんですか?」

「構わぬ。チョーカーの礼もせねばならんでな」

先輩はすっかり落ち着きを取り戻しているようだ。

「待たれよ」

本場の茶でも作るのかと思いきや、傍にあったポットで緑茶を入れる。

「すまぬな。今はこれしか出せぬ」

「先輩の作ってくれるお茶なら一生保存しておきたい気分ですよ」

「そなた、腐った茶でも平気で飲みそうじゃな」

「まさか」

さすがに、腹は壊したくはない。

やり取りをしながら、茶と茶菓子を共に俺の前に置いた。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

感謝を込めて、お茶をすする。

「美味っす。先輩の汗と涙と愛が篭ってるお茶は最高っす」

そうして、俺は涙(目薬)を流しながら感動する。

「机の上に目薬を置いてるのは気のせいかえ?」

「あ」

先輩がお茶を入れてる間に仕込んだ目薬を、直し忘れていた。

「そなたも、爪が甘いのう」

今度は怒ってないようだ。

先輩は親が子供をあやすような顔になっている。

今ある雰囲気が、小学生やら中学生やらでは出せない物だといえよう。

「美味しいのは事実です」
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