学園(姫)
「本当か?」

疑いの眼差しが体に刺さって痛い。

「天と地がひっくりかえっても、嘘ではないと言えますね」

「まあ、良い」

俺は茶菓子を頬張る。

「でも、何で休日に部活になんかに?休日くらいは家で休みたいと思うもんですよね?」

「学校にいたほうが落ち着く。それだけじゃ」

それだけってところが怪しい。

しかし、深くは踏み入れられない部分があった。

疑いを持たなければ、鵜呑みにして何も考えなかっただろうな。

先輩の言葉を信じていないわけではない。

それに、先輩は嘘を言っていない。

言葉が足りないだけである。

何故、学校にいたほうが落ち着くのかという事を考えなければならない。

普通に考えれば、家にいると息苦しいからだ。

息苦しいという事は、問題があるという事。

先日の先輩自身の仮面発言といい、乾の閨閥結婚発言といい、龍先輩は不遇な立場であるというのが分かる。

かといって、外に遊びに行く気にもなれない。

だから、学校に来たという繋がりが出来るわけだ。

「なるほど」

「そなた、よからぬ考えを立ててはおらぬか?」

「俺が、そんな深い考えがあるような人物だと思いますか」

「見えぬな」

「そりゃあ、解せぬですよ」

「そなたが、自分で言ったのではないか」

「先輩に言われると、どうにも落ち込みブルーになっちゃうんですよ」

「我が侭な奴じゃな」

俺は先輩とのやり取りが幸せで仕方がなかった。
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