学園(姫)
龍先輩が好きなところを考えてみる。

茶の間の事を考えると、うるさい場所よりも静かな場所のほうがいいと思うんだよな。

そういえば、近くに大きな公園があったよな。

「公園でも行きますか」

「良いぞ」

俺達は学校から出て、十分程度したところにある公園の中に入った。

休みとはいえ、人の数はそこまで多いわけでもない。

ぼちぼちと言ったところだろう。

隣を見ると、少しでも背を高く見ようとしているのか、背筋を伸ばした凛々しい先輩がいる。

まさか、二人(乾を除く)で歩ける日がくるなんて思いもしなかったな。

ふと、気になった事があった。

「先輩はいつから武道を習ってたんですか?」

「幼少の頃じゃ」

「そんなにも前から?」

「ほとんど家で過ごしていたワラワに、祖父が進めてくれてのう。内気なワラワであったが、武道は自分の変わるきっかけにもなったのじゃ」

「武道が今の龍先輩を作ったといっても過言ではないという事か」

「そうとも、言えるのう」

「なるほど、ね」

家にいたのは、友達がいなかったからか。

それとも、両親がさせなかったのか。

両方かもしれない。

今の情報で大切な事は、祖父は龍先輩の事を考えているという事だ。

親も考えているのだろうが、ベクトルが違いすぎる。

「一人で習っていたんですか?」

「共に修行をしていた者もおった」

「男、ですか?」

「同い年ぐらいで、力もそう変わらんかったから、何も問題はなかったがのう」

いや、十分に問題がある。

自分を変えるきっかけというのならば、龍先輩の心の中に根強く鮮明に残っているのではないのだろうか。

多少、美化されていてもおかしくないし、男にとってアドバンテージが高いといえる。

そう、俺と吟ネエのような関係である。
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