学園(姫)
それ以降、何も聞けず、休憩するだけして帰る事となった。

学校前。

「じゃあ、先輩、また明日」

「今日は、すまなかった」

龍先輩が頭を下げた。

「先輩」

ある程度の事は予測できる。

先輩の性格からして、次の言葉は『アレ』だろう。

「こんなにも良いプレゼントを貰ったというのに、そなたに無茶をさせた」

「なあに、問題ないですよ。というか、俺にも役得がありましたからね」

「役得」

「そうそう、スウィートな先輩の匂いと凛々しい走る姿。これだけで今日の分はチャラ。いや、それ以上です」

本当は、先輩の匂いなんて嗅ぐ暇なんてなかったんだけどな。

「恥ずかしい事を言うでない!」

顔面に掌底がめり込んでいる。

「うーん、刺激的なアピールですね」

止まった鼻血が再び流れ出した。

「す、すまぬ」

「いやいや、何のこれしき」

鼻血が口の中に入り、血の味が広がる。

「じゃあ、また明日会いましょう」

「そなた、鼻血は?」

「大丈夫大丈夫!先輩も疲れてるでしょうし、ゆっくり休んで下さいよ」

息をしにくいが、笑顔で流す。

龍先輩を背に、俺は家路へと付く。

「先輩の情報は今後のためになる、か」

何も知らなければ、予定を組みにくいからな。

しかし、鼻血の味が不味いな。

さっさと帰って鼻血でも止めて、渚さんの手料理でも食べよう。
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