学園(姫)

風のままに

日曜の朝、時刻は11時。

目覚まし時計のアラームによって、ノートが視界に移った。

机に覆いかぶさるように寝ていたようだ。

身体を起こして、ノートを見ると2ページから進んでいない。

答えが出ないままで課題なんかやっても進まないのはわかっていた。

でも、答えは出た。

「そうか」

夢の事は鮮明に覚えていた。

夢の中に立っていた人影。

「龍、先輩か」

吟ネエよりは短い期間ではあるが、龍先輩の事が気になっているようだ。

「どうするかな」

今の気持ちのまま会えば、俺はたじろいでしまいそうで怖い。

しかし、買ったプレゼントを無駄にしたくはない。

「うーん、会いに行くとしても、龍先輩はどこにいるんだろうか」

龍先輩は部活動をしているが、休日までやっているのだろうか。

考えても埒が空かないのは確かな話だ。

俺は服を着込み、リビングへと向った。

誰の姿も見当たらない。

リビングの机の上には作り置きされている目玉焼きが存在してあった。

渚さんも吟ネエも出かけているのかもしれない。

目的は龍先輩であるからして、問題はないんだけどな。

椅子に座って目玉焼きを食す。

その間にテレビの電源をつけて、チャンネルを廻してみた。

「うーん、いいものがやっていないな」

休日の昼間故なのだろうか、心躍る物はやっていないようだ。

アイドルが歌っている番組はやっているのだが、どうにも心に響かない。

歌声だけならば、龍先輩のほうが好みといえる。
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