学園(姫)
「一つ聞きたいんですけど、先輩は俺が迷惑だったりします?」

正直、付きまとっているようなものである。

一人の時間を潰しているような気もするんだよな。

「何故、そのような事を聞く?」

「だって、先輩の一人の時間を潰したり、困らせるような事ばかり言ってますし」

「そなたは、ワラワが迷惑だと答えれば、もう、会いに来ぬのか?」

「んー、どうですかね。先輩の嫌な事はしたくないですけど、やっぱ、会いに来ちゃいますかね」

「それでは、質問の意味はないではないか」

「あ、そうですよね」

ネガティブに思考を走らせすぎたか。

「迷惑じゃと考えた事はない。ワラワも、そなたとの時間は紛れもなく、大切な物じゃ。だから、そのような事は言うでない」

先輩の悲しそうな声が、馬鹿な質問をした事を後悔させる。

「すいません」

せめて、学校だけでは明るくいて欲しいと思う。

家では感じられない事を、学校では感じて欲しかった。

先輩がそうしていられる、居場所を作りたかった。

「丞の、幼少の頃はどうじゃった?」

「俺のですか?」

「うむ、ワラワもそなたの事を知りたい」

少しは歩み寄ってくれたと思ってもいいのかもしれない。

「そうですねえ。先輩みたいに何か習い事とかはしてなかったんですけど、今と余り変わらないっすかね?」

「成る程な。女を口説いておったという事じゃな?」

「うーん、そんな時間なんてなかったっすかね」

「何故じゃ?」

「親の都合で引越しが続いてましたからね」

よくあるというか、本当に迷惑な話だ。

高校までは自分の力で一人暮らしなんて出来ない。

高校生になってようやく許してもらえたのはいいのだけれど、お金を安く済ませるために、吟ネエの家に居候として身をおかせてもらったんだよな。
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