学園(姫)
俺にとっては夢のような話ではある。

龍先輩が将来、閨閥結婚で男と結婚したとしよう。

男は仕事人間である可能性は高い。

しかし、愛が芽生えない事もないとはいえない。

幸せかどうかは、その時の状況によるだろう。

話が反れたな。

今の会話から見るに、父親と母親のプレッシャーは相当なものだろう。

娘に過度の期待をしすぎている節があると見ていい。

「先輩も、一族の繁栄を願っているから頑張ってるんだよな」

「うむ」

「じゃ、俺と息抜きしますか」

「息抜き?」

「先輩のやってる事は否定しませんよ。頑張るなとも、頑張れともいいません。でも、息抜きは必要でしょ」

風船に空気を入れすぎたら爆発するのと同じで、人間もデリケートな部分がある。

「家に帰らなくちゃならないのは当然。だけど、外にいる時間があるのも当然。だったら、外に居る時間で、俺が生きるための利益って奴を提供しますよ」

俺は手を差し出した。

「丞」

先輩は俺の手を取ってくれる。

この行動が吉と出るか凶と出るか。

今の時点では、閨閥結婚云々がなくなったわけじゃないんだよな。

これは、絶対的に大きな壁といえる。

まず、龍先輩の心を動かすには、行事を多くこなして、心に思い出を刻み付ける。

龍先輩を手に入れる場合、俺に足りない物。

それは、龍先輩の家族との信頼関係。

圧倒的に足りない部分はそこである。

龍先輩と仲が良い所で、反対されるのは目に見えている。

だとすれば、如何にして龍先輩の周囲の人達と信頼関係を気付くかが問題になってくるのだ。
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