学園(姫)
「提供してくれるのは良いのじゃが、そなた、今はテスト前じゃぞ?」

本来の目的はそこであった。

龍先輩からテストの話を降ってくれるとはありがたいものだ。

「先輩、提供するとか言った矢先なんですけど、俺に勉強を教えてくれませんか?」

「そなた、授業を聞いておらぬのか?」

「そんな事はないんですけど、ぜひとも先輩のやり方を聞きたくてですね」

「成る程のう」

先輩は勉強が出来るほうである。

一度、先輩の学年順位を拝見したことがあるが、上位三番内に入っていた。

俺も、常に五十番内をキープしている。

聞く必要はないのだが、先輩との時間を過ごすためだ。

「承知したが、ワラワの教え方はスパルタじゃぞ?」

「大歓迎ですよ」

アポ取り完了。

「でも、先輩、ご自分の勉強は、大丈夫なんですか?」

「ワラワは一夜漬けでやるわけではない。それに、人に教えるという行為は、自分の記憶を呼び覚ますには良い機会なのじゃ」

先輩が神々しく見える。

いや、以前から女神のような存在であったのは変わりはないのだがな。

「じゃあ、今度家に来てくれませんか?」

俺が龍先輩の家の敷居を跨ぐ事は出来ないだろう。

「何?ワラワがそなたの家に?」

「ええ」

龍先輩は少し頬を染めて腕組みをしながら、思考を張り巡らしている。

「良いぞ」

答えるまでに、ちょっとした間があったが、何を考えていたのか。
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