学園(姫)
多少、威圧感を与えながらも、聞き返す。

「お前はいつ死ぬんだろうってな」

「死ぬか、ボケ」

周囲の反応が今の一言でよく分かった。

少し不機嫌になりながら、席につく。

しかし、不思議な物だな。

男ならまだしも、女生徒まで近づこうとしない。

環境の違いにあるのだろうか?

同じ環境下であるならば、気兼ねなく付き合えるといったところか。

龍先輩は基本的に内気な性格だという情報は聞いた。

環境の違いという事を自分でも分かっているのかもしれない。

だから、何となく話にくいという部分もあるのだろう。

その中で、吟ネエや笹原先輩は特別といっていいかもしれない。

吟ネエ達からも話しかけるし、龍先輩からも話しかける。

龍先輩と仲良くなったきっかけは何かあるにしろ、救いといったところだろう。

ただ、どちらも癖があるのが問題だよな。

真ん中がないんだ。

「はあ」

「葉桜」

「はい」

気付けばいつの間にか授業が始まっていた。

今、呼ばれた相手は数学の教師だ。

「お前は授業内容が解らないからため息をついているんだろう?」

「まあ、そんなところですね」

「嘘をつくんじゃねえ」

数学の教師は、昔ヤンキーをやっていたという噂がある。

怒ったときの威圧感が凄まじいのだ。

「冗談冗談。ちょっと親戚が病気になりましてね」

「嘘を重ねんじゃねえ!」

チョークの連弾が俺を襲い、チョークをめり込ませながら気絶した。
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