学園(姫)
エロ本の内容は、お姉さん系の本である。

何となく気まずい雰囲気が流れる。

「どこに本が?」

「ベッドの下からはみ出てたのじゃ」

「成る程」

俺は龍先輩からエロ本を受け取り、そっと襖の奥へと直した。

「その、丞は、あのようなグラマラスな女性がいいのかえ?」

恥じらいながらも、俺に聞いてくる。

「こだわりはありませんよ」

「そうなのか?」

「まあ、今は、龍先輩のような人がいいと思ってますよ」

「そうか」

龍先輩の心には不安要素があるから、何を言っても素直には喜べない。

「勉強を始めましょうか」

止まった時間を動かす一言を告げた。

目的を忘れてはいけない。

真摯な気持ちを忘れずに、と。

早速、龍先輩に数学を見てもらう。

俺自身としては、困ってるわけではない。

ある程度の問題を解いて、龍先輩に見せてみる。

「なるほど、基礎的な事は出来ているようじゃな」

「何事も基礎からって言いますしね」

「そうじゃな。では、そなたに、応用問題を解いてもらうとするかのう」

そう言いながら、龍先輩は鞄の中からプリントを取り出した。

「ワラワの考えた問題が載っておる」

プリントを見ると、問題がいくつか手書きで書かれている。

「こんな事までしてくれたんですか?」

「うむ、二年の教科書を借りて、作ってみたのじゃ」

「先輩」

俺は龍先輩の行動に、感服するしか出来なかった。
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