学園(姫)
「お茶でももってきますね」

「すまぬな」

「今日は手伝ってもらってるんだから、いいんですよ」

一階に降りると、吟ネエが帰ってきていた。

リビングでソファーに座りながら龍先輩の写真を見ている。

「お前から淫靡な匂いがするアル!」

いきなり、指を指す。

「それは勘違いだ。というか、罠を仕掛けるなよ」

「何を言うアルか。アチシはお前にプレゼントするために置いててやったアル」

「マジか?」

「ふっふっふ、早急に龍を家の中に連れ込むほどに、性欲が増してるアルからな」

「勉強を教えてもらってるだけだよ」

俺は冷蔵庫から、紅茶とケーキを取り出して用意する。

「なんて意気地のない奴アルか」

「吟ネエだって、分かってるだろ」

俺だって龍先輩とあんな事やそんな事を望んでいる。

男なんだから、夢だって見たくもなる。

でも、今の状態であんな事やそんな事は行動的に真摯ではないのだ。

いつかでいいなどというつもりもないが、今ではないのは確かだ。

目的ではないからな。

「俺はさ、龍先輩が好きなんだ。だから、タイミングって奴を大事にしたい」

「手遅れになったらどうするアル?」

「解らない。でも、急がないし、のんびりもしすぎない。時がこれば、確実に事を進めたい」

「本番でEDにならないようにアル」

必要のない心配だな。

しかし、本番なんて本当に来るのか?

そこまで、どうやって踏み入れればいいんだろうな。
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