学園(姫)
「お待たせしました」

「気にするでない」

先輩は、静かに読書をしていた。

教科書ではないようだ。

「何見てるんですか?」

「健康のための料理本じゃ」

表紙を見せてくれた。

確かに、龍先輩の言うとおりのような本だ。

「何か、新しい料理でも作るつもりですか?」

「レパートリーを増やそうと思ってのう」

「成る程」

これは、龍先輩の手料理を食べられるチャンスなのではないか?

龍先輩の手料理は俺から定評もあって美味しい。

「先輩」

「何じゃ?」

「俺、先輩の手料理が食べたいです」

「ワラワの?」

「先輩の料理は、癖になる美味さなんですよね。次に食べたいと思っていても、あまり機会もないですし」

「ううむ」

腕組みをしながら、考えている。

「お願いします」

「そこまで言うのなら、良い」

「本当ですか!?」

「そんな犬のような目で見られては作るしかあるまい」

心躍る展開とはこの事か。

これで、先輩の女神飯が食える。
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