学園(姫)
「お前は、馬鹿アルな」

「馬鹿は馬鹿なりに突き進むしかできねえんだよ」

俺は吟ネエの横を通りすぎ、再び龍先輩を探そうとする。

「今は、裏庭の塀にいるアル」

「すまねえ」

「DT卒業するアルよ」

「出来ればな」

俺は走りに走った。

裏庭に辿り着くと可愛いお尻が俺のほうに向いている。

どうやら抜け道を使おうと、塀に開いた穴から出ようとしたところで挟まってしまったというところか。

吟ネエの情報によれば、龍先輩なんだろう。

「龍先輩」

「な、丞か」

「どうしたんですか?」

「はさまってもうたのじゃ」

いつも、ここから帰っていたのか。

しかし、どうして今日に限って先輩は挟まっているんだろう。

そもそも、何故、吟ネエが龍先輩が抜け穴から帰っていた事を知っているのか。

多分、吟ネエが細工したな。

「先輩、こういう時に言うのもなんですけど」

「そなたの話は、聞かぬ、聞かぬのじゃ!」

意固地になってしまってる。

でも、俺にも覚悟というものがある。

「聞かなくてもいいです。俺は独りで喚きますから」

大きく息を吸って、溜め込む。

「俺は、龍先輩が、大好きだああああああ!」

龍先輩のケツに向って、全校生徒に聞こえるくらいの大声で叫んだ。

「辞めぬか!」

「多分、今、最高に迷惑じゃないかなと思ってます。でも、こうでもしないと先輩は耳を閉じたままですもん」

「馬鹿者!ワラワの気持ちを何故、理解せぬ!」

「ええ、先輩の気持ちは理解してます。俺を大事に思ってくれてのことなんですよね」
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