学園(姫)
止めなくては不味い。

先輩の目つきは本気だ。

本気で吟ネエとやりあうつもりだ。

俺としては怒ってくれる事は嬉しいが、乱暴な事は起こして欲しくない。

「先輩、俺はいいんだ」

「すまぬ、こればかりは丞のいう事でも聞けぬ」

一方、吟ネエはいつもの表情で、龍先輩を見ている。

しかし、どこか楽しそうな目をしていた。

本当は、龍先輩と本気でやり合いたいという気持ちがあるんではないのか。

俺はアイコンタクトを取ったものの、笑うだけでやる気は満々だ。

吟ネエの性格上、売られた喧嘩は買うんだもんな。

俺は二人のやり取りをどう止めるべきなのか。

好きなようにさせてやりたい。

でも、二人の争ってるところなんて見たくないんだ。

吟ネエが部屋を出て、後ろから龍先輩が付いて行く形になっている。

今の構図は一番最高ではないだろうか。

吉と出ても凶と出ても、俺のやるべき事は一つ。

俺は先輩を後ろから抱きしめようとする。

次の瞬間、当身が俺を襲い、吹っ飛ばされた。

「が!」

予想通りの行動であはるものの、威力が高い。

俺は壁へと激突し、床へと転がった。

「おぬし、何をしておる!」

龍先輩が俺のもとへと駆けてくる。

「だって、龍先輩が、怒ってるから」

「そなたが、ワラワの攻撃に当たる意味など、なかろう!」

「あるよ」

「ない!」

「俺は、吟ネエと先輩の争うところなんてみたくねえんだ。それが、俺が龍先輩の動きを止める、意味さ」
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