学園(姫)
「馬鹿者」

龍先輩が怒ったような顔で、でこピンで俺の額をこずく。

本当のところは、先ほどよりも殺気は減っている。

「嫌な場面を見るくらいなら、馬鹿でもいいかな」

吟ネエのほうを見ると、つまらなさそうな顔をしていた。

「お前もよくやるアル」

「これくらいしか出来ないんだけどな」

「また面白行事でも用意しておくアル」

吟ネエはキッチンから出て行った。

何度も面白行事があっては、俺の体がもたない。

事の発端は吟ネエなのにな。

「さて、と」

俺は立ち上がろうとすると、太ももに頭を押さえつけられる。

「ちょ」

意外にも力が強く、俺は立ち上がる事が出来なかった。

「もうちょっとゆっくりしておくのじゃ」

俺は龍先輩の太ももの感触を味わいつつ、先輩の顔を眺める。

「それも、悪くないな」

心地のよさは羽毛の枕よりもいい。

漂う匂いも、アロマよりも心を落ち着かせるのにはいい感じである。

「俺さ」

「何じゃ」

「いつも姫ちゃんには癒されてばっかりだな」

「ワラワはそなたに迷惑をかけてばかりじゃ」

「何を言ってるんだよ」

俺が背を起こそうとすると、再び頭を押さえつけられる。

「どこでどう、そうなったのかはわからないけど」

龍先輩の手を握った。

「今は先輩が傍にいてくれなけりゃ、裸で町内一周しちまいそうだ」
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