学園(姫)
今日の晩御飯は焼き蕎麦だった。

一般的に普通な味ではあるのだが、渚さんが作ったというだけで美味しく感じる。

「はい、どうぞ」

乾の前にも焼き蕎麦の皿が置かれる。

「いただきます」

ペンギンの絵柄が入ったお箸を片手に、蕎麦を啜っていく。

しかし、啜るスピードが並ではない。

「もうちょっとゆっくり食えよ」

「もぐもぐ」

食事中の時は、俺の言葉が届いていないのか。

俺が半分くらい食べ終わった時には、すでに皿の上にはなくなっていた。

吟ネエは子鉄の様子を気にする事無く、マイペースな感じで食べている。

「うまい、おかわり」

子鉄は空になったお皿を渚さんに突き出した。

「お前、遠慮ってもんがないのかよ?」

「美味いから、止まらない」

「はい、いいですよ」

笑顔の渚さんは素直にお皿を受け取り、焼き蕎麦を持っていく。

手元に焼き蕎麦がやってくると、再び麺を啜り続ける。

そして、俺が一杯目を食い終わると、子鉄も二杯目を食い終わった。

「ふう」

俺は満腹であるが、子鉄はまだ足りないような顔をしていた。

吟ネエは食器を片付けると、一人で部屋に戻っていく。

「お前ってさ、学校以外では何をやってんだ?」

お茶を飲みながら一息ついたところで、子鉄の話を聞く事にする。
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