学園(姫)
「修行」

子鉄は素っ気無く答えた。

「剣のか?」

「そ」

話に興味がなさそうで、すぐにでも帰還したいオーラを出している。

「趣味とかねえのか?」

「修行」

「お前、それで楽しいのか?」

「さあ?」

まったく会話にやる気を感じられない。

「あのさ、アタシと会話しても面白くなんかないと思うけど?」

「そんなの、お前が決める事じゃないだろ」

「無理しなくてもいいのに」

「そうでもないさ」

修行ばかりしてきて、他の事には興味がないのか。

剣の道にはあまり興味がないというよりは分からないのが本当のところである。

「修行っていつからやってるんだ?」

「五歳から」

「真似出来そうにねえ」

きっと小さい頃から叩き込まれてきたのだろう。

ケースの中には武器が入っているように思えるし、使ったら瞬殺されそうな予感がする。

自分が五歳の頃といえば、吟ネエと遊んでいたような気がする。

「修行が好きって、言ったでしょ」

子鉄は立ち上がる。

「もう一度言うわ。龍姫から手を引くのよ」

その目は冷たく、狩人のようだ。

「そしたら、龍先輩は他の男の元に行くんだろ?」

「あんたが知る必要はないわ」

閨閥結婚で俺と龍先輩が離れる未来は安易に想像が出来る。
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