学園(姫)
「他の誰でもなく、龍先輩に似合うと思ったから。それに、昼飯の借りってやつもありますしね」

前回の昼飯に、心打たれたものもある。

「むー」

いつもの困った声を上げている。

「やっぱ、いきなり渡されても困りますよね」

俺が龍先輩からチョーカーを取ろうとしたところで、チョーカーが移動した。

「先輩?」

「迷惑ではない。今まで、こういう事がなかったので、戸惑っていただけじゃ」

直視しておらず、頬が少しばかり赤い。

「じゃあ、受け取ってくれるんですか?」

「ありがたく頂こう」

龍先輩の最高の笑顔が目の前にある。

胸躍るとは今の状況をいうのだろう。

「すまぬが、つけてくれぬか?」

先輩が長い髪を持ち上げてうなじを露にする。

細く白い、美しさの極みといってもいいだろう。

あまりの美しさに指で撫でて見る。

「ひ!」

体を震わして、条件反射で裏拳が飛んでくる。

避ける間もなく、顔面にダイレクトアタック。

「ベンガル!」

後方に吹っ飛びながら、転がり壁に激突する。

「な、何をするのじゃ」

うなじを押さえながらも、抗議をしてくる。

「感度は良好、っすね」

鼻血を出しながらも立ち上がる。

咄嗟の一撃とはいえ、今のは相当なダメージを受けたといってもいい。
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