学園(姫)
「そなたは、油断も隙もない奴じゃ」

ジト目でこちらを見ている。

余計な事をして、怒らせてしまった。

「本当のところ、うなじがあまりに美しかったので、引き寄せられまして」

鼻血を出しながらも、頭を下げる。

「良い。それより、畳を血で汚されてはたまらぬ」

ポケットからティッシュを取り出す。

「これで何とかせよ」

「すいません」

ティッシュを鼻に詰め込んで、難を逃れる。

「しかし、凄い反射ですね」

回避が敵わないほどである。

「いきなり触られれば誰だって、ああなる」

「いきなりじゃなかったらいいんですね」

「そなた、反省の色がないな」

また、余計な事を言ってしまったようだ。

「だって、先輩って可愛いから、ついこう、愛でたくなっちゃうんですよ」

ジェスチャーと言い訳で何とかごまかそうとする。

「そなた、ロリコン癖でもあるのかえ?」

「せ、先輩は年上の女性じゃないですか」

「ワラワは自分の体の事をわかっておる。先日も小学生、中学生と間違われたのじゃ」

「あー」

「何を納得しておる」

「す、すいません」

素直に頭を下げておく。

「雰囲気とか気遣いとかは、小学生だとか中学生だとか、そんなものを凌駕してますよ」

「よう言いよるわ」

すっかり拗ねてしまっている。

そういうところが、可愛いと思えるんだけどな。
< 8 / 72 >

この作品をシェア

pagetop