大切な人
「陸いいなぁ~~、めっちゃユリちゃんと話してたじゃ~ん!」
帰り道、智紀が何度も何度もしつこく言ってくる。
「しつけーなぁ~~もぁーー。」
俺が呆れていると、星夜が薫の肩に手をおいた。
「チビ、俺と席替われ。」
「無理だよぉ~!そもそも苗字がセイちゃんの方が早いんだから、替えられないよ~。」
「なんで俺は内田なんだ……。」
それを聞いて、優が反応をする。
「生まれてきたところが、内田だから!」
智紀がつっこむ。
「いや、それは誰だって知ってるから。」
さすが天然……。
「青葉の野郎……車にひかれろ……、もしくは一生喋れなくしてくれ……。」
星夜の顔が完全に死んでいる。
青葉と喧嘩しすぎて、精神的に参っているのだろう。
「あれれ~?あの天才星夜くんでも、青葉には勝てないんだぁ~?」
智紀が余計なことを言った瞬間、星夜のまわりに、怒りのオーラがでてきた。
「貴様…、今までつきあってきた女たちの写真を、黒板に貼るぞ……!!!」
星夜が言い終わる前に、智紀は土下座をしていた。
俺らはそれを見て笑っていたけど……、こうしている時にも、ふっと花咲さんのことが浮かぶ。