大切な人
「ユリ大丈夫?」
いつの間にか立ち尽くしていた私を、美月が心配そうに覗きこむ。
「だ……大丈夫!昔のこと思いだしただけ!」
私はそう言って歩きだすと、美月も歩きだす、
「でも、あいつらはいいやつらだよね。」
「うん…たしかに…。」
中学校を卒業して高校生になっても、同じ中学校だった人たちは、今だに私たちを避けている。
でも、陸くんたちは私たちと仲良くしてくれる…。
それがとても嬉しくて、いつの間にかに笑みがこぼれる。
「これで美月が陸くんとつきあえば完璧だね!」
美月がまた顔を赤くさせる。
「む、無理に決まってんでしょ!!な、なに言ってんの!」
美月が照れ隠しで、私の背中を叩く。
「ユ、ユリも誰かとつきあえばいーじゃん!あたしはユリの幸せを願ってるんだからさ!」
ユリは本当に優しい、私なんかと大違いだ……。
私は空を見上げる。
「大丈夫、私には美月や陸くんたちがいるから……。」
そう言うと、美月が微笑んだ。