大切な人
5、迷い by陸斗
あれから俺たちは、放課後になると教室に集まり、ずっと話していた。
智紀や薫は星夜にいじめられ、その間に青葉が入りこみ、星夜と喧嘩している。
それを見て静かに笑う優。
そして……俺の隣で笑っている花沢さん。
触りたくなる白い肌、長いまつげに大きな瞳……。
見れば見るほど、かわいいとしか言いようがなくて、胸の鼓動が高くなっていく。
「なにかしましたか?」
花沢さんが俺の視線に気づいた。
「あ、や…なんでもないよ!」
花沢さんの瞳に俺が映ってる……!!
さらに胸の鼓動が高くなると、星夜が俺の顔を見てニヤッとした。
や……やべぇ……まさか星夜にばれたか?!
星夜が完全にサドモードに入り、なにかを言いかけた瞬間に薫が言った。
「ユリちゃんとみーちゃんは好きな人いるのぉー?」
俺達は一斉に薫を見た。
か…薫……この流れで聞いたーー!!!
しかもさりげなく、青葉のことも入れて聞いたよぉぉー!!
でもたしかにこの場で、青葉も入れなかったら不自然だもんな……。
青葉が顔を赤らめる。
「い、いるわけないじゃんっ!」
星夜がニヤッとした。
「ちょうどいいじゃないか、告っとけ。」
青葉の顔が、今にも爆発しそうなくらい赤くなっていく。