大切な人
「いないって言ってるでしょ?!」
すると、智紀が目を光らせた。
「ま、まさか……この俺に惚れちゃった?まったくしょうがないなぁ~!」
智紀がどこからか名刺を取り出して、青葉に差し出す。
「俺、人気者だから、1晩5千円だよっ……ゴフッ!!」
言ってる最中に青葉が、智紀の腹に強烈なパンチを見舞った。
「この変態ナルシストやろう!!!」
智紀は床に座りこみ、すっかり大人しくなった、
「で、ユリちゃんは~??」
薫が智紀をほったらかしにして花沢さんに聞いた。
「えっと…そのー…いないんですよー…。」
なんだ…いないのか……。
いや、俺以外にいられても困るんだけど……。
あ、待てよ……ってことはチャンスってことか……?!
俺は首を振った。
…ってダメだろ俺!!ぬけがけなしってことになってんのに……。
「いつか……」
花沢さんが小さくつぶやく。
俺はそれに気づいて花沢さんを見た。
「私も…いつか恋をしてみたいです!」
花が咲いたような笑顔で言う花沢さんを見て、顔が熱くなった。
ドキーッ!!!
な、なにその笑顔ー!!これはヤバイだろっ……!!
べたに心の中で「ドキーッ!!!」なんて言っちゃってるし……。
だ、だめだ……、心臓がバクバクしすぎて死にそうだ……。
「わ、悪い……、俺トイレ行ってくる……。」