大切な人


俺が教室を出ると


「何したんだ?陸のやつ。」


「顔色悪かったよぉー?」


「腹痛いんじゃないか?……くっ……」


「なんで笑ってんだよ星夜。」


と言う声が聞こえたが、丸っきり無視してトイレに入った。



やば……星夜にはばれたか……?



トイレの出入口前で壁に寄り掛かる。



好きな人いないか……、あの笑顔…かわいかったな……。



花咲さんが初恋の人で良かった…。



でも……なんでよりによって…友達の好きな人を好きになったんだろう……。



もし…友達も好きじゃなかったら、すぐに告ってただろうな…。



花咲さんの笑顔が、脳裏にやきついてる。


俺はしゃがみこみ、うずくまった。



あの笑顔を……俺だけのものにしてぇよ……。



でも……叶わねぇだろうな……。



胸がしめつけられて、息苦しくなる。



どうすればいいんだよ……。



好きな気持ちは……誰にも負けねぇ自信があるのに……。



< 32 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop