大切な人
俺が教室を出ると
「何したんだ?陸のやつ。」
「顔色悪かったよぉー?」
「腹痛いんじゃないか?……くっ……」
「なんで笑ってんだよ星夜。」
と言う声が聞こえたが、丸っきり無視してトイレに入った。
やば……星夜にはばれたか……?
トイレの出入口前で壁に寄り掛かる。
好きな人いないか……、あの笑顔…かわいかったな……。
花咲さんが初恋の人で良かった…。
でも……なんでよりによって…友達の好きな人を好きになったんだろう……。
もし…友達も好きじゃなかったら、すぐに告ってただろうな…。
花咲さんの笑顔が、脳裏にやきついてる。
俺はしゃがみこみ、うずくまった。
あの笑顔を……俺だけのものにしてぇよ……。
でも……叶わねぇだろうな……。
胸がしめつけられて、息苦しくなる。
どうすればいいんだよ……。
好きな気持ちは……誰にも負けねぇ自信があるのに……。