大切な人
チビが騒いでいると、優がにこにこしたまま、軽々しく変態を持ち上げて、教室を出ていった。
「あ!待ってぇー!!」
チビが優の後を追うと、青葉も追いかけていった。
あいつ……よく変態を持ち上げられたな……
しかもまた保健室かよ……。
飽きれ半分、唖然さ半分でいると、俺ははっとした。
この教室内でいるのは……
俺と花咲だけ……
「内田さんは行かなくていいのですか?」
よくわからないが……調子が狂うな……。
「あぁ……どうせあいつのことだから、少し寝れば元気になる。」
「そうですか…良かった……。」
花咲がそう言った後、沈黙が続いた。
こういうのには慣れないな……。
普通に話せば、この空気はなんとかなるか……。
「あの…青葉ってやつは、男並の力を持っているな……。」
花咲が笑いだす。
「あはは!でも本当はとても優しいんですよ?」
「どこら辺がだ、俺にはうるさいハエとしか思えん。」
また花咲が笑った。
かわいい顔しやがって……
「美月が陸くんに告白して……幸せになってほしいです……。」
…無理だな…。
でも、友達のことをそんな風に思ってやれるのは……いいやつだと思う。
「おまえ……陸斗のことが好きじゃないのか?」