大切な人


何…してんだよ……



呆然としたまま立ちつくした。



あいつらとの約束が…あるじゃないか…。



陸斗やチビ、変態や優の顔が浮かんだが、すぐに花咲の笑顔が浮かび上がり、かき消された。



俺と……花咲がつきあってるのか……?



実感がわかない…



自分の手が小刻みに震えている。



な、なに動揺してんだよ……自分でやったことだろ……?



後悔の波が引き寄せられる。



ダメだ……



すぐに呼び止めて…今のことをなかったことにしなければ……



体が…動かない…



行けよ……早く動けよ…



なにしてんだ……俺は馬鹿か……



動けないまま時間だけが経つ。



俺はあいつらから逃げるようにバックを持って、教室を出ていった……。



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