大切な人
2、大好き by薫
いっつもいっつもセイちゃんは、チビとか女とか僕に言う。
そのうえクロちゃんのことも、変態とか言うし、保健室にも来てくれない……。
「本当にひどいよぉ……。」
保健室のベッドで寝込んでいるクロちゃんが首をかしげる。
「ん?どうした?」
「え?な、なんでもないよぅ!」
クロちゃんの顔色は良くなった。
けれど…セイちゃんがお見舞いに来てくれないせいか、クロちゃんは苦笑いをしている。
セイちゃんは普段からひどいことばかり言う。
だけど本当は優しいんだ。
僕がいじめられてた時に、いつもセイちゃんが助けてくれたし、
なんだかんだ言って、僕たちのことを理解してくれてる。
だから今日だって保健室に来てくれると思ったのに……
今回ばかりは本当にセイちゃんなんて大っ嫌い!!
「星夜は……今日忙しいんだろ!」
クロちゃんがそう言って笑う。
でも顔が引きずっていた。
セイちゃんが忙しくないことなんてわかってる。
テストだって近くないし、家族と出かけることなんてめったにない。
クロちゃんが無理に笑っているところを見てると……悲しくなるよぅ……
隣で一緒に座っていたみーちゃんが立ち上がる。
「あたし、あの馬鹿をつれてくる!!」
みーちゃんが怒って保健室を出ていった。
「来ねぇーと思うけどなーー。」
「僕もそう思う……。」