大切な人


でも…心のどこかで期待しちゃう……。



不安と期待を抑え切れずにソワソワしていると、みーちゃんが帰ってきた。



「あいつどこにもいなかったよ?バックもなかったし……。」



「だ、だよな!あっははは……!」



クロちゃん…無理して笑わないでぇ…。



無理してるのがバレバレだよぅ……。



クロちゃんが静かになると、保健室まで静かになる。



本当に……本当に見損なったよぉ……



本当の本当に…セイちゃんなんて大っ嫌いだぁぁ……



涙がボロボロとこぼれだす。



「な…泣くなよ~!!星夜はいつ冷たいやつだろ~?」



クロちゃんが僕の頭を撫でると、みーちゃんも背中をさすってくれた。



「そうだよ~!な、なんかあいつらしいじゃん!!」



優しくしないでぇ……



余計涙が出ちゃうよぉ……



「で、でもぉ…ひっく!本当はぁぁ……セイちゃん…優しいもんっ…!ひっく!」



みんなわかってる。



わかってるのに感情がでちゃう……



「ほら~男のくせにそんな泣くなよ~!」



クロちゃんの目に涙がたまってる。



クロちゃんは男の子だなぁ……



泣きたくても我慢して……



僕なんかと大違いだ……。



僕は泣き虫で、弱くて、小さくて……すぐ女って言われる……。



家の人が迎えに来ると、僕も一緒に車に乗って帰った。



今日は逃げない……



いっつもいっつも自分勝手なセイちゃんを……絶対許さない…!!



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