大切な人


昔はよくここで遊んだなぁ~…。



鬼ごっこをして、いっつも僕が鬼になって……



全然捕まえられなくて泣いて…、転んでまた泣いて……



セイちゃんがバカにして……リクとクロちゃんがなだめてくれて、ユーちゃんがいつも笑ってた。



自然に笑みを浮かべて公園を歩く。



昔と比べて錆びた遊具を触りながら歩いていると……



ブランコに誰かがいることに気づいた。



誰……?



一人…みたいだなぁ……



よく目をこらして見てみる。



…ドクン





ユ…ユリちゃんだ……!!





ドクンドクン…



心臓がバクバクするよぅ……!



必死に鼓動を抑えながら、ユリちゃんの様子をみる。



あれ……?



なんだか元気がないような……



大丈夫かなぁ……。



僕は自然とユリちゃんに歩みよる。



「ユ、ユリちゃん?」



「えっ…?」



ユリちゃんが驚いている。



「あ……いきなりごめんねぇ!驚いた?」



「いえ!大丈夫です!」



さっきまで元気がなかったユリちゃんが、満面の笑みを見せている。



かわいいなぁ……



鼓動が更に早くなる。



「一人でなにしてるのぉ?」



ユリちゃんが一瞬黙りこむ。



「え…。ひ、久しぶりに行ってみようかなぁと思いまして!」



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