読めない手紙
「思い出…か。」
大丈夫。
確かに、彼は居ないけど。
彼の想いが…此処にあるんだから。
彼の残した手紙。
真っ白の封筒と真っ白な便箋に綴られた彼の想い。
見つけるのが、私の役目。
涙を拭う。
もう、泣かない。
泣けないよ…。
手当たり次第に、思い出の詰まったものを探る。
「あれ…?」
1つの異変に、私は気付いた。
それは彼の机の上。
写真立てが1つ倒れている。
周りは倒れていないのに、たった1つだけ。
たしか、此処に飾ってあった写真は…
静かに、写真立てを元に戻す。
写真立ての下には白い封筒。
「3通目。」
前の2通と同じように、深呼吸してから。
封筒を開けた。