読めない手紙
 
「思い出…か。」

大丈夫。
確かに、彼は居ないけど。
彼の想いが…此処にあるんだから。

彼の残した手紙。
真っ白の封筒と真っ白な便箋に綴られた彼の想い。

見つけるのが、私の役目。

涙を拭う。
もう、泣かない。
泣けないよ…。

手当たり次第に、思い出の詰まったものを探る。

「あれ…?」

1つの異変に、私は気付いた。
それは彼の机の上。

写真立てが1つ倒れている。
周りは倒れていないのに、たった1つだけ。

たしか、此処に飾ってあった写真は…


静かに、写真立てを元に戻す。

写真立ての下には白い封筒。


「3通目。」


前の2通と同じように、深呼吸してから。
封筒を開けた。



 


< 13 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop