読めない手紙
見物{ミツケタモノ}
でも、実際はそんなに都合よく死ねない。
紅の線が増えるだけ。
虚しさが…増えるだけ。
寂しくて、寂しくて
不安になるときがある。
死にたい自分と生きたい自分の間で葛藤する。
どうしても、寂しいとき。
彼の部屋へ向かう。
そのままにしていた部屋。
いつ帰ってきてもいいようにって。
彼の香水の匂い
彼がまた、抱き締めてくれそうで。
「冗談だよ。寂しかったね」
って、笑って戻ってきてくれそうで。
分かってる。
もう戻ってこないことくらい。
でも、期待せずには居られない。
この期待が、私の唯一の生きる意味だから。