白雪姫の惚れ薬
A
部活を終えて、疲れて帰宅してみれば……
「芯っ!ついに、ついに完成したのよ!!」
玄関を開けるなり、興奮気味に飛びついてくる人物。
「私ってば、やっぱり天才だったんだわ。」
赤いフレームの眼鏡に、真っ白な白衣。
手には、何やら液体の入った…試験管??
明らかに怪しい。
「“天才科学者”と言われたおじいちゃんの血を、しっかり受け継いでいたのね…」
両手を握り合わせて、キラキラした瞳で「おじいちゃんありがとう!」なんて言いながら天を仰いでいる…って、じいちゃんは、まだ健在だからっ。
「これで、世の中の迷える人たちを救えるわっ!」
思わず漏れるため息。
その横をすり抜けて、俺は家の中へと足を進めた。
……ものの、
「ちょっと!最後まで聞きなさいよ!」
追いかけてくる声に仕方なく振り返る。
「……姉ちゃんさぁ、今度は一体、何を作ったわけ?」
< 1 / 32 >