白雪姫の惚れ薬


「あぁ…」


そういや、今朝そんなことを言われたような気がする。

だから何?って思って、聞き流したけど。


「普通はさ、“じゃあ、帰りは暗くなって危ないなぁ”とか“部活が終わったら迎えに行ってやろう”とか…ならない?」


いつもと同じ、のんびりした口調だけど、ぶすっとしてるし明らかに怒っている。

……そういう意味だったのか。


「私、帰り道すっごく怖かったんだからね?」


なんか、俺って悪者?

すごい、睨まれてるんですけど。


「今の世の中、物騒なんだよ?痴漢に襲われるかもしれないし、もしかしたら拉致られるかもっ…」


ぶるっと肩を震わせる朱李。


「この前だって、近所の山田さんが…」


具体例を挙げて力説してるけど……

そもそも、なんで俺が注意されなくちゃいけないんだ?

だって、俺は別にコイツとは何の関係も……


「幼なじみの安全を守るのは、当然でしょ?」


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