白雪姫の惚れ薬



……そうだ。

朱李と俺は“幼なじみ”

生まれたときからのつき合い。

家も隣だし、親同士の仲もいい。

お互いの家を普通に行き来するし、ベランダからもお邪魔できる。

そんな関係。


そして……

“幼なじみ”以上の感情を抱いているのは俺だけ…という、どこまでもありがちなパターンだ。




「今度からは、ちゃんと一緒に帰ってね?」


勝手にひとりでしゃべっていたかと思えば、どうやら気がすんだらしく、再びマンガに向き直る。

こういうところ、昔っから変わらない。


無邪気というかワガママというか……

勝手に怒って、勝手に解決してしまう。

未だに、こいつの反応ポイントがわからない。


ある意味、天然?

いつも振り回されて、迷惑なことこの上ない。


でも……

これをうまく扱えるのは、俺だけ…だと思う。

そんな変な思い上がりが、この“片想い”につながってるわけだけど……




ずっと面倒をみてやらないと。

俺がいてやらないと……


そう思ってるうちに、いつのまにか目が離せなくなって、

特別な感情が生まれたんだ。

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