白雪姫の惚れ薬



朱李は、これでもモテる。


小柄で小動物みたいな愛らしい容姿に、くるくる変わる表情。

“天然”に見えがちな、ふわふわした性格。

でも、実はしっかり者で、生徒会役員なんかやってたりする。

そのギャップもいいのか、そんな朱李のことを「彼女にしたい」と望む男は数知れず。


男子生徒の間では、ちょっとしたアイドルだ。

特に、あの生徒会長なんて……

思い出したら、イライラしてきた。


「芯ちゃんどうしたの?座んないの?」


突っ立ったままの俺を、怪訝そうに見上げる朱李。

……そうだった。

って言うか、


「俺、着替えたいんだけど…」


姉ちゃんのせいで未だに制服姿。

だから出ていけ、と言う意味で言ったのに…


「んー、着替えれば?」


マンガから顔を上げることもなく、平然と答えやがった。


「……は?いいの?」

「着替えればいいでしょ?別に私に許可とらなくていいから」


……おいおい。

そういう意味じゃないから。

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