白雪姫の惚れ薬


朱李が俺のことをちっとも意識していないのはわかってる。


あくまで“幼なじみ”。

男とか女とか…たぶん、ないんだ。

しいて言えば“キョウダイ”感覚?


人のベッドで我が物顔で昼寝はするわ、

夏はキャミソール1枚にショートパンツ…なんて無防備な格好で現れるわ、

風呂上がりのパジャマ姿でゲームしに来るわ……


まったく、危機感なんてない。


「A組の佐々木くんがカッコいい」

とか、

「サッカー部の齊藤先輩って素敵だよねぇ」


とか……

平気で“好きなやつ”の話とかしてくるし……


俺って、あいつの何なわけ?

絶対に、俺の気持ちなんて知らない。

わかるはずもない。

伝えるつもりもない。



だけど……

やっぱり誰にも渡したくはない。





“惚れ薬”ねぇ……

それが本当なら、俺だって使ってみたいよ。

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