白雪姫の惚れ薬
姉ちゃんの説明によると、
これはまさに“白雪姫のリンゴ”らしい。
完璧に再現した、のだと。
一口食べれば、たちまちに眠りにつく。
そして、目が覚めて最初に見た相手を好きになる。
……って、ホントかよっ。
どう考えたって、嘘くさい。
俺はもう高校生だよ?17歳だよ?
そんな話に騙されるか、って言うの!
「軽い睡眠薬が入ってるの」
姉ちゃんは言った。
「少しの衝撃を与えれば、すぐに目が覚めるようになってるから」
それでキスをしろ、と。
なぜ、そこに結びつけたがるのかわからない。
あくまで忠実に再現したかったらしい。
「キスくらい簡単でしょ?初めてじゃないんだし」
にやにやしながら言いやがって……
あれが最初で最後だっつーの!
「とにかく、これで朱李ちゃんはあんたに惚れるはずだから。」