白雪姫の惚れ薬
朱李に、リンゴを食べさせるのは簡単だ。
あいつは、リンゴが大好物。
この前だって、目を離したら食べられそうな勢いだった。
リンゴジュースも好きだし、アップルパイも好き。
とにかく、大好き。
差し出せば、何のためらいもなく口にするだろう。
だからって……
「あ、言い忘れてたけど…」
部屋を出る直前、姉ちゃんは思い出したように振り返った。
「皮ごと食べないと意味がないから。」
「は?」
「皮に薬が入ってるの。実のほうに入れたら、色が変わっちゃうでしょ?」
確かに…じゃなくて!
「皮ごと、って…」
「一番いいのは、かぶりつくこと、かな。それかウサギさんにむいて食べさせる、とか?」
そんな……
「ま、あとは自分で考えなさい。お姉ちゃんは、またしばらく研究室にこもるから!」
「あ、ちょっと!」
制止もむなしく、バタンとドアが閉まって、慌ただしく階段を駆け下りる音。
「行ってきま~す!」
……って、
どうすんだよ、これ。